フリーランスで仕事をしていると、お客様から突然、
「至急対応お願いします」
「早めに確認してください」
「今すぐ見てもらえますか?」
という連絡が来ることがあります。
もちろん、本当に緊急性が高い内容であれば、できる範囲で対応したいと思います。
ただ、すべての「至急」が、本当に至急とは限りません。
特に一人で仕事をしている場合、すでに別件の予定が詰まっていたり、外出中だったり、移動中だったり、営業時間外だったりすることもあります。
そんな時に、急ぎではない内容まで「至急」として飛んでくると、かなりストレスになります。
今回は、自分自身へのルールセットとしても、フリーランスが「急ぎの連絡」に振り回されないための考え方をまとめておきます。
お客様の「至急」は、必ずしもこちらの「緊急対応義務」ではない
まず大前提として、お客様が「至急」と言っているからといって、こちらが即時対応しなければいけないわけではありません。
もちろん、契約内容として「緊急対応」「即時対応」「保守対応」「優先対応」が含まれている場合は別です。
しかし、単発の制作案件や、都度対応の関係性であれば、基本的にはこちらの稼働状況に応じて対応するのが自然です。
お客様にとっては急ぎに感じることでも、実際には、
- サイトが落ちている
- 問い合わせフォームが動かない
- 決済が止まっている
- 予約が取れない
- 明らかに売上や業務に大きな影響が出ている
といった、本当の意味での緊急トラブルではない場合もあります。
たとえば、
- YouTubeから英語のメールが来た
- 投稿内容を確認してほしい
- 画像を差し替えたい
- 文言を直したい
- 使い方を聞きたい
- 管理画面に出た表示が不安
- メールの内容を見てほしい
といった内容は、重要ではあっても、今すぐ数分以内に対応しなければ業務が止まる類のものではありません。
ここを冷静に分けることが大事です。
お客様は、緊急性の有無を判断できないこともある
WebやSNS、ITツールに詳しくないお客様の場合、何が重大なトラブルで、何が後から確認すればよい内容なのかを判断するのが難しいことがあります。
たとえば、
- SNSから見慣れない通知が来た
- 管理画面に警告のような表示が出た
- 著作権やセキュリティに関するメールが届いた
- 投稿内容がこれでよいのか不安になった
- いつもと違う画面が出てきた
- 問い合わせが正常に届いているか分からない
こういう時、お客様側は不安になります。
そして、不安だからこそ「至急お願いします」と連絡してくる。
そこに悪気があるわけではありません。
むしろ、お客様からすると「分からないから、詳しい人に聞きたい」という自然な行動です。
その気持ちは分かります。
ただし、こちら側にも現実があります。
フリーランス、とくに一人で仕事をしている場合、常に複数の仕事を同時に抱えています。
制作中の案件、納期のある作業、打ち合わせ、出張、移動、事務作業、家庭の予定。
表からは見えなくても、こちらにはこちらのスケジュールがあります。
そのため、お客様の不安をそのまま全部「即時対応」にしてしまうと、こちらの仕事が回らなくなります。
だからこそ、必要なのは「突き放すこと」ではなく、「受け止めたうえで、すぐには対応しない線引き」です。
「悪気がない」と「すぐ対応しなければならない」は別
お客様に悪気がないことと、こちらがすぐ対応しなければならないことは、別の話です。
悪気がないからこそ、こちらも強く言いづらい。
でも、悪気がないまま、こちらの時間が削られていくこともあります。
「困っていそうだから、今回だけ」
「急ぎっぽいから、今だけ」
「返さないと悪いから、移動中だけど」
「不安そうだから、とりあえず見てあげよう」
こういう判断を毎回していると、どんどん疲れます。
しかも、一度「急ぎと送ればすぐ見てもらえる」という関係性ができてしまうと、次回以降も同じような連絡が来やすくなります。
だからこそ、感情ではなくルールで対応することが大事です。
相手を責めるのではなく、自分の働き方を守るためにルール化する。
これが、一人フリーランスには必要だと思います。
一人フリーランスは「即時対応」を標準にしない
一人で仕事をしている場合、即時対応を標準にしてしまうと、かなり危険です。
なぜなら、自分の時間が常に細切れになるからです。
予定していた作業が中断される。
集中していた仕事が止まる。
外出中でも気になる。
運転中でも返信しなければと思ってしまう。
営業時間外でもスマホを見てしまう。
これが積み重なると、仕事そのものがかなりしんどくなります。
フリーランスは自由に働けるように見えますが、実際には一人で営業・制作・経理・連絡対応・納品・アフターフォローを全部やっています。
だからこそ、すべての連絡に即反応していると、自分の仕事のリズムが崩れます。
「すぐ返せる人」になることと、「安心して任せられる人」になることは、同じではありません。
保守契約をしないなら、「都度対応」のルールを明確にする
私の場合、今後も保守契約は基本的に結ばない方針です。
一人で仕事をしているため、保守契約を結ぶと、
- 優先対応しなければいけない圧が生まれる
- 毎月お金をもらっているから断りにくくなる
- 営業時間外でも気になってしまう
- 自分の予定が常に拘束される
- 他の仕事とのバランスが崩れやすい
というリスクがあるからです。
そのため、基本は「都度対応」。
何か相談があった場合は、内容を確認したうえで、
- 対応できるか
- 費用が発生するか
- いつ対応できるか
をその都度判断する。
この形の方が、自分の働き方には合っています。
一次回答は短くていい
急ぎの連絡が来た時、毎回丁寧に長文で返そうとすると、それだけで疲れます。
特に、こちらが出張中・移動中・別件対応中・営業時間外の場合は、まずは一次回答だけで十分です。
私の基本文はこれです。
ご連絡ありがとうございます。
本日は終日出張のため、すぐの確認は難しい状況です。
確認後、対応が必要な場合は、対応可否・費用・作業時期を含めて改めてご案内いたします。
よろしくお願いいたします。
これで十分です。
ポイントは、以下の通りです。
- 今すぐ確認するとは言っていない
- 必ず対応するとは言っていない
- 無料で対応するとも言っていない
- 費用と作業時期を後から案内すると伝えている
- 相手を責めていない
- こちらの状況も伝えている
急ぎの連絡が来た時ほど、焦って余計なことを書かない方がいいです。
不安には共感する。でも、即時対応は約束しない
お客様が不安になって連絡してくる気持ちは分かります。
ただ、こちらが毎回すぐに見てしまうと、お客様の中で、
「困ったらすぐ送れば見てもらえる」
「急ぎと書けば早く対応してもらえる」
「営業時間外でもチャットすれば反応してもらえる」
という認識ができてしまいます。
一度この関係性になると、後から線引きするのが難しくなります。
だから、一次回答では不安を受け止めつつ、即時対応は約束しないことが大切です。
連絡を無視しているわけではない。
ただし、今すぐ確認するとは言わない。
必ず作業するとも言わない。
無料で対応するとも言わない。
お客様の不安には対応する。
でも、自分の予定を崩してまで即時対応することは標準にしない。
この線引きが、一人フリーランスには必要だと思います。
入れない方がいい言葉
つい書きたくなりますが、以下のような言葉は慎重に使った方がいいです。
できるだけ早く対応します
隙間時間で確認します
戻り次第すぐ見ます
急ぎます
なるべく早めに作業します
これらの言葉を入れると、相手の中で「急げば対応してもらえる」という認識ができてしまうことがあります。
一度そうなると、次回以降も同じように連絡が来ます。
もちろん、本当に対応したい相手、本当に緊急性が高い内容であれば別です。
ただ、毎回すべての連絡に対して「急ぎます」と返していると、自分で自分の首を絞めることになります。
緊急度は自分で判断していい
お客様が「至急」と言っていても、緊急度はこちらでも判断していいと思っています。
私の中では、緊急度をざっくり以下のように分けています。
本当に急ぐもの
- サイトが表示されない
- 問い合わせフォームが送信できない
- 予約・決済・購入ができない
- 明らかな誤掲載でクレームや損害につながる
- 公開直後の重大な不具合
- 売上や業務に直接影響するトラブル
急ぎではないもの
- 文言の微修正
- 画像の差し替え
- 投稿内容の相談
- SNSやYouTubeの仕様確認
- 操作方法の質問
- 管理画面や通知の内容確認
- 急ぎと言われているが、業務が止まってはいない内容
後者の場合は、即時対応しなくていい。
重要ではあっても、緊急ではない。
この区別を自分の中で持っておくと、かなり気持ちが楽になります。
「返信」と「作業」を分ける
急ぎの連絡が来た時に大事なのは、「返信」と「作業」を分けることです。
返信は短くしてもいい。
でも、作業はすぐに始めなくていい。
たとえば、
ご連絡ありがとうございます。
本日はすぐの確認が難しいため、確認後に改めてご連絡いたします。
これだけでも、相手には「連絡は届いている」と伝わります。
でも、そこからすぐに調査や修正に入る必要はありません。
返信したからといって、即作業開始ではない。
この線引きは、自分を守るためにかなり大事です。
都度対応の基本ルール
今後の自分のルールとして、以下を基本にします。
- 営業時間外は、原則すぐに対応しない
- 出張中・移動中・運転中は、確認や作業をしない
- まずは一次回答だけでよい
- 内容確認は落ち着いてから行う
- 作業が発生する場合は、費用と時期を案内する
- 無料対応を前提にしない
- 相手の「至急」に自動的に合わせない
- 本当に緊急かどうかは、自分でも判断する
- すぐ対応できないことに罪悪感を持たない
- 感情ではなく、自分のルールで対応する
これは冷たい対応ではなく、仕事を継続するための線引きです。
断ることは、仕事を雑にすることではない
フリーランスは、お客様との距離が近い分、つい「できるだけ応えたい」と思ってしまいます。
でも、すべてに即対応しようとすると、自分の予定も、体力も、集中力も削られます。
結果的に、他のお客様の仕事にも影響が出ます。
だから、対応できない時は対応できないと言っていい。
すぐ見られない時は、すぐ見られないと言っていい。
費用がかかる作業は、費用がかかると伝えていい。
それは不親切ではなく、仕事として当然の線引きです。
お客様の不安には共感する。
でも、即時対応は約束しない。
このバランスを持っておきたいと思います。
まとめ
フリーランスにとって、お客様からの連絡は大切です。
ただし、すべての連絡に即時対応する必要はありません。
特に一人で仕事をしている場合は、自分の時間と集中力を守ることも、仕事の一部です。
お客様が「至急」と言ってくる背景には、不安や分からなさがあることも多いです。
そこに悪気はないと思います。
ただし、その不安をすべてこちらの即時対応で吸収してしまうと、一人フリーランスの働き方は簡単に崩れます。
お客様の「至急」は、こちらの「即時対応義務」ではありません。
今後は、急ぎの連絡が来た時ほど、まずは落ち着いて一次回答をする。
ご連絡ありがとうございます。
本日は終日出張のため、すぐの確認は難しい状況です。
確認後、対応が必要な場合は、対応可否・費用・作業時期を含めて改めてご案内いたします。
よろしくお願いいたします。
このくらいでいい。
仕事を長く続けるために、無理な即時対応を標準にしない。
自分の働き方を守るためにも、「すぐ対応しない勇気」を持っておきたいと思います。
